公益財団法人 がん集学的治療研究財団

会長挨拶

公益財団法人がん集学的治療研究財団会長就任にあたって

会長 : 茂 木 友 三 郎

私は、昨年当財団の公益財団法人への移行に伴い会長に就任して以来、「がん」という病気について、これまでより一層強い問題意識を持つようになりました。

がんは1981年より、わが国の死亡原因の第一位を占めています。男性は4人に1人、女性は6人に1人が、がんで亡くなられているとのことです。患者さんご本人だけでなく、ご家族や友人、同僚等多くの人々の悲しみとご苦労を思うと、その総量は絶大なものとなります。

この国民的課題に対して、30年以上の長きに亘って取り組んできたのが、当財団であります。いかにしてこのがんと闘うか、あるいは避け得ないものであるなら、できる限り患者さんの「生」の質を高め、期間を延ばしてあげられるか。手術療法、放射線療法、抗がん剤を用いた化学療法、緩和療法、患者さんやご家族の心のケアをする精神療法と、「患者さんの望み」を尊重し、いわば医学の持てる力をすべて投じるのが「集学的治療」だと理解しています。

特にこの10年は佐治重豊理事長のリーダーシップのもとに、「患者にやさしい癌薬物療法」を掲げ、数々の臨床試験を行なってきました。その理念を具体化すべく描いた「働きながらできるがん医療」というモデル図は、一昨年の「がん対策推進基本計画」の個別目標として新たに加えられた「がん患者の就労」を先取りしたものであります。

こうしたビジョンのもと、「データマネージャー」という言わば裏方の育成にも地道に取り組んできました(現在は日本癌治療学会に育成事業を委譲)。臨床研究の「命」とも言える「データの正確性」を担保するデータマネージャーの重要性に着目し、早くからその育成に尽力してまいりました。臨床研究のクオリティー・コントロール・システムを一から創り上げてきた当財団の取り組みが、現在の多施設にまたがる大規模な臨床試験を可能とする体制へと結実しているのであります。

多くのがんの危険因子となっているのが、「加齢」であることを考えると、急速なスピードで高齢化社会を迎えつつあるアジア各国においても、早晩がん医療の重要性が増してくることは明白であります。がん医療の進展は、私たち日本人の生活をより良くすることだけに留まらず、日本のソフトパワー外交の一助となる可能性も秘めています。

がんは、皆さんご自身、ご家族、ご友人、同僚等にいつ起こるかも知れない大変身近な問題です。がん医療の進展は、人々の悲しみと絶望を和らげることに確実に貢献いたします。このがんとの闘いを国や企業に任せっきりにせず、市民の皆さん、企業の方々にその重要性を伝え、少しでも多くの支援を得ていくことが、公益財団法人となった当財団の今日の課題であろうと考えております。皆さんのご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

平成26年1月吉日